2023年8月30日水曜日

'23.08.26 自主活動

 国天然記念物指定100年記念シンポジウム


・日時:8月26日 午後1時から4時まで

・会場:大阪市立自然史博物館講堂

・参加者(クラブメンバー)5名。(田中先生・土井・藤原・弘田・田中・朝井・高原)

 まず、このシンポに先がけて配布されたパンフをご覧にいれよう。



 会場には60名程が集まり、きしわだ自然資料館同時中継。YouTubeが同時配信され50名が参加。


 シンポを機に、ブナ林の保全に関心のある人々がつながりを持つことに意義を見出す向きも多かろう。写真は、文化庁文化財調査官の田中厚志さん、京大准教授の石原正恵さんと名刺を交わす佐久間自然史博物館学芸課長。


基調講演:

・田中 厚志 (文化庁文化財調査官)
 「天然記念物の保全と活用」

・石原 正恵(京都大学フィールド科学教育研究センター森林生態系部門准教授)
 「近畿地方のブナ林保全 各地の課題と未来」


パネルディスカッション:「和泉葛城山 ブナ林これまでの100年 これからの100年」

・田中 厚志文化庁文化財調査官)
・石原 正恵(京都大学准教授)
・高原 光(京都府立大学名誉教授・生命環境科学研究科)
・田中 正視(貝塚市文化財保護審議会委員)
・土井 雄一(和泉葛城山ブナ愛樹クラブ代表)
・幸田 良介(大阪府立環境農林水産総合研究所)
  ―以上パネリスト―
・コーディネーター:佐久間 大輔(和泉葛城山ブナ林保護増殖検討委員会会長)

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岸和田市 自然資料館:岡本館長あいさつ

・ 江戸時代岡部藩は和泉葛城山を大切に守った。明治期に、五つの村に払い下げられ、ブナ林以外は薪炭の原料木を育てた。
・和泉葛城山で伐採されたブナの紹介があった。現物は岸和田自然資料館で展示されているが、年輪を館長が詳細の解析した結果、このブナは吉宗が将軍になった頃芽生えたことがわかった(約300年前)。ブナの年輪の中には黒い斑点が見られ、これは明治に薪炭の原料木が影にならないよう枝打ちした後ではないか、との話もされた。和泉葛城山のブナ林は、山頂の葛城神社の社林として守られてきただけでなく里の住民に活用されてきたのではないかと思われるとのことであった。
・堺の松田サダヒサが天然記念物指定に貢献した。




会場にはブナ愛樹クラブのメンバーも参加

「天然記念物ってなに? 天然記念物の保護の意味」:田中厚志 文化庁文化財調査官

西洋合理主義が先行していたが、三好学が「名木ノ伐滅幷二其保存ノ・・」国天然記念物の提案をする。
・最近指定された天然記念物が紹介された。
・和泉葛城山ブナ林の歴史も紹介。
・「天然記念物は地域のみんなで守っていく姿勢が大切です」と何度も言われていたのが印象的だった。

「ブナ林に迫る危機と協働による保全」:京大 石原正恵准教授

・芦生研究林420ha広大ブナ林だが、多く茂るミズナラがナラ枯れ。また、2000年頃からシカ害が酷い。
・食害でシカが食べる草がなくなり、土が露出している部分がふえた。シカが食べない植物が増えて、食草が大きく変化している。またその結果、川の環境も変わり、そこいた昆虫・両生類の大きく影響をうけている。。
・ブナは種子の数も減る傾向がある。結実してもほとんど芽生えない。他の木々も同じ傾向。
・シカ害対策は市民ボランティア、KDDIなどの協力で2006年から柵で囲う作業を行っている。
・石原さんの前から研究している広島県鷹ノ巣山4haのブナ孤立林の紹介もあった。

パネルディスカッション:

・京都府立大学 高原光先生、貝塚文化財保護審議会委員 田中正視先生、環境農林水産総合研究所 幸田良介先生、ブナ愛樹クラブ 土井代表の発表があった。
高原光先生は昔総合研究にいた時1991年、和泉葛城山のブナ林のコアーだけでなく100ha調査。ブナの残るバッファー・ゾーンも必要と報告したとの話。
・幸田先生はシカが河内長野に生息、和泉葛城山もいずれ侵入する。
・土井当クラブ代表は、市民にブナ林を説明する看板が必要。和歌山側も含め和泉葛城山として貴重植物のPRをと具体的な提案をした。

シンポの情景:










芦生のシカ防止柵の中と外の違い









ブナ愛樹クラブ(土井)からのいくつかの提案をおこなったが時間がなく、十分には説明できなかったのが残念。
シンポジウム会場で映写したスライド(字が小さくて読めなかったと思います)、

<ブナ愛樹クラブが長年調査してきた、和泉葛城山のブナの開花調査を紹介しました>

2013,2016,2020年に開花が多かったことがわかります。
翌春実生が多く見られたのは、2014と2017年です



(高原 記)           

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