2022年2月24日木曜日

 1/27日 今年最初の活動は研修会でした。

・参加者は、11名。オミクロン株の感染拡大中で、全員マスクをつけて間隔を開けて着席し、窓もあけて換気をしながら開催しました。昨年度は中止しましたので2年ぶりの開催でした。例年研修会後に実施していた新年会は中止にしました。


場所:岸和田市立福祉総合センター 3階講座室

内容: 1.トラスト協会の和泉葛城山ブナ林10カ年事業計画
    2.2020年度の種子の結実と採取・播種の経緯
    3.和泉葛城山のなら枯れの状況と対策
    4.その他



1.和泉葛城山ブナ林10ヵ年事業計画


・2021年3月に制定された「ブナ林10ヵ年事業計画」の内容を冊子とパワーポイントをつかって確認しました。ブナ愛樹クラブに期待されている役割を再認識しました。

・ブナ林10ヵ年事業計画は大阪みどりのトラスト協会の下記HPに掲載されています。

和泉葛城山ブナ林 10 ヵ年計画

 








2.2020年度の種子の結実と採取・播種の経緯


・ 2020年の春は和泉葛城山のブナの開花はすごく、ブナ林全体に開花が見られました。しかしすでに報告しているように秋に大量に落下してきた種子は、粃(シイナ)や虫食いがほどんどで充実した種子はほとんどありませんでした。この原因は、夏の気温が高かったことやブナ林の乾燥化などが原因とも考えられますがよくわかっていません。


・秋に、集めた種子を塔原に苗畑に播種しましたが、翌年芽をだした種子は全くありませんでした。山でも大量に種子が落ちていましたが芽を出した実生の苗はほとんどなく僅かにコアゾーンで2本確認したのみです。この2本も本葉がでてくるころに虫食いなどで枯れてしまいました。(私市の大阪市立大学付属植物園に播種した種子は1本だけ芽をだし無事冬芽をつけて現在越冬中です。)

・開花が多かった2020年の春と違い、2021年の春は全くブナは花を咲かせませんでした。前年に種子に栄養を供給するのに疲れて花芽をつけられなかったのでしょう。それから1年たった今年2022年の春の開花はどうなるでしょうか?4月が楽しみです。

・これまでの毎年のブナ愛樹クラブによる和泉葛城山のブナの開花調査の結果は下記のとおりです。(ブナの豊作-凶作の指数で表示しています)


・2020年のブナの開花の豊凶指数は3.6で調査開始の2008年からで最高の数字でした。
・豊凶指数は5がブナの木の樹冠全体に花がついて開花した状態。ゼロが全く開花しない状態です。調査したブナの木の開花状況を0~5のいずれかの指数にして、調査したブナ全部の平均を算出して和泉葛城山のブナの開花の豊凶指数としています。ーー東北森林管理局方式
・調査本数は、年により異なりますが、調査対象のブナは開花の可能性がある直径20~30cmをこえるブナです。

・この調査は、あくまでも開花時点の豊凶(開花の多い少ない)で、実際に充実した種子の豊作、凶作とは一致しません。そのズレが大きかったのが2020年です。これまでも開花の豊作の翌春にブナの実生がおおくみられているわけではありません。春にブナの実生が多く見られたのは2014年と2018年です。

・実生のブナは、残念ですが秋までの殆どが枯れてしまいます。そのため2014年には、バッファゾーンの実生の一部を採取して、作業小屋近くで育成しその後塔原の苗畑に移植して育成しています。

3.和泉葛城山のなら枯れの状況と対策


・大阪北部の北摂や生駒などから徐々に南下してきたコナラなどのナラ枯れ被害が、大阪府南部に広がり、堺市、泉南や和泉葛城山の山麓の塔原や神於山で目立ってきました。2020年頃から和泉葛城山の山頂付近でも見られるようになりました。大阪府側からナラ枯れが広がって来たようです。
・和歌山県では平成11年に熊野川町で大発生し、その後北上し、県中央部までその被害が及んでいます。最近は紀の川沿いでも見られるようになったそうです(和歌山県などの報告)。和泉葛城山の南面ではコナラのナラ枯れはいまのことろ確認していません。

・和泉葛城山では、登山道沿いや、ブナ林のコアゾーンの中のコナラが被害を受けて、枯死する個体もでてきました。幸いブナ、イヌブナは、カシノナガキクイムシのよるナラ枯れは報告されていないのですが、ブナ林の中では、コナラ、アカガシ、ウバメガシが被害をうける可能性があります。現時点ではコナラの被害が目立っていますが、アカガシなどへ被害が拡大するのが懸念されます。

・昨年、トラスト協会に協力してコアゾーンのコナラ、アカガシの被害調査をおこないました(このブロクでも報告)これに基づいて、トラスト協会でアカガシや登山道横で枯死して倒木すると危険があるコナラなどを6月に薬剤注入してナラ枯れ予防を実施しました。

・秋の確認調査の結果、薬剤注入したコナラでも10%ほどが枯死しました。完全な予防にはならなかったようですが、被害の低減ができたようです。今年も薬剤注入を実施する予定です。




・研修会で使用した資料と配布した今年度のブナ愛樹クラブのカレンダーです。
<クラブの掲示板に2022年度のカレンダーを掲載します>


・研修会では、次のような要望、意見がでました。

1.トイレの設置
・作業小屋付近へのトイレの設置が強く要望されました。山頂広場のトイレまで10分ほどかかり、会員だけでなくイベントに参加してくれた子供さんたちも大変だったとのことでした。まだトイレがいたずらなどで故障して長期間閉鎖になることもたびたびありトイレには悩まされてきました。
・以前より仮設トイレの設置を要望して費用の見積もりをとっていただきましたが実現していません。来年度、再度トイレの設置を要望していきたいと考えています。
・トイレが設置できるまでは、時間を決めて作業小屋から車でトイレまで送ることを実施したいと考えています。

2.定例会時に、間伐などの森林整備作業だけではなく、ブナ林などの観察・調査を毎回実施してはどうかとの提案がありました。
・間伐や森林整備が好きで和泉葛城山に来る方だけでなく、ブナ林の自然を楽しみたい参加者もいるのでそのような方にもブナ愛樹クラブに参加していだだけるように検討してはとの提案でした。
・3月からやり方を検討しながら実施することにしたいとおもいます。